春 ~風が吹いたら~
『ごめん!』
『朝飯、美味かったよ。西野も喜んでた!』
前の生活に戻れる日を、あたしは待ち遠しく思う。
でも、本当は前の生活がどれなのか…わからなくなってきているのも、また事実だった。
だって、あたしと潤悟が出逢った時には、もうこの生活が始まっていたような気もするから。
-- 4月。-----
あれからは、“嵐の前の静けさ”のように、ほとんど何も起こらず、平凡に過ごしていた。