春 ~風が吹いたら~
と…届かない。
背が低いあたしには、高く積まれた品物の入った段ボールに手を伸ばしたが、どうしても届かなかった。
脚立は、沼口さんたちが使ってるし……。
あたしが悩んでいたところに、西野さんがやってきた。
『俺が、取りますよ。』
そう言って手を伸ばし、段ボールを取った瞬間。
別の物が入った段ボールが、落ちてきた。
『おっと!ごめん。』
笑顔で西野さんは、その段ボールを受け止めた。