春 ~風が吹いたら~
皆の目線が痛かった。
あたしが強いこともバレたし、あたしが男をたぶらかしてると勘違いもされただろう。
『あんな子、辞めればいいのに…。』
『一緒に働きたくないよね……。』
ヒソヒソ話す皆の言葉も胸に突き刺さる。
『華……菊原…さん。』
『店長…迷惑かけちゃって、すみません。今日は帰らせていただきます。辞めますねぇ!突然じゃ困るでしょうから、あと1週間はしっかり働きます。』
そう言い、翔に背を向けて店を後にした。