明日が欲しい
≪秋≫
長い夏休みも終り9月になったが,香織の症状は相変わらずであった。
見舞いに行った帰りに香織の家に行って見た。
おばさんは疲れたような顔をして出迎えてくれた。
『おばさん!
最近看病で大変やろ。
疲れてるんとちがいます。
あんまり無理してたらおばさんの方まで倒れてしまいますよ。』
と言うと,
『でもね!
あの子に何もして上げられへんから……』
と言ったきり黙ってしまった。
暫らくしておじさんが帰ってきた。
私の顔を見るなり笑顔で挨拶を交わしたが,チラッと見えたおじさんの顔は悲しそうに曇っていた。
1時間ほどお邪魔した後,帰ろうと思った時おじさんが口を開き,
『浩志君,実はな,香織に本当の事を話そうと思とるんや。
その時に一緒に居てくれへんか?
わしもな,だいぶ迷たんやけどな,その方が香織も頑張ってくれよると思うし,何も知らんとどんどん酷うなってくなんてめちゃ辛いやんか。
頼むわ!』
『本当ですか?
香織ショック受けるんと違いますか?
おじさんが決めた事やから自分はなんも言えませんが,おばさんの気持ちはどうするんですか?
それに,香織自身がそれをきちんと受け止められますか?』
『私は香織が頑張って,この病気に正面から向かい合って戦って行けるんやったら,それでかまへんのよ。』
『しかしおじさん,香織がそれを知った時本当に大丈夫ですか?』