明日が欲しい




『なぁ,香織!

実はな,お前の病気は骨髄移植を受けないと治らない病気なんや。

病名はな,重症再生不良性貧血言うてな,血液中の赤血球≪体内に酸素を運ぶ≫や白血球≪病原体から身体を守る≫,それに血小板≪出血を止める≫もドンドン,ドンドン減って行く病気なんや。

血液を造る骨髄幹細胞のな、機能が低下していってやな、血液成分が極端に少のうなっていくんや。

だから,貧血起こしたり突然出血したりするんや。

おまけに色んな病気に感染しやすいんやて。

この前の風邪の症状みたいな奴や!

気付けとかんと,寿命を縮める事に成りかねんのや。

そやからな,香織!

きついかも知れへんけど,大人しゅうしとかんといけへんで。』


と言って,暫らくうつむいたままのおじさんを,香織はジッと見据えて,長い時間が流れた。


時計の音だけが以上に大きく聞えて来る。


そして沈黙を破る様に香織が口を開いた。
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