明日が欲しい




その為,より多くのドナー登録者が要ればその分適合率が上がってくるのである。


しかし,もし見つかっても,ドナーの年齢が高ければ,移植してもなかなかうまく根付かない。


ドナーがなかなか見つからないから,発病してからとにかく長い間戦わなければいけない。


白血球が少ないからすぐに他の病気に感染してしまい,そのまま逝ってしまう人もいるのが現実である。


香織は若いから進行も早い。


早くドナーが見つかる様にとそればかり考えて過ごす日々は不安で一杯である。



『もし見つからなかったら?』


と言う懸念がいつも脳裏をかすめ,その上,長い時間を掛けての輸血が何時も付きまとい,薬の副作用で髪の毛が抜けたり,太って来たりする人もいると言う。


それから暫らくして香りは自宅に戻って来た。


私は病院から家迄付き添ったが,香織の肌が以上にカサついているのに驚いた。



これも薬の副作用なのだろうか。


そんな事を考えている内に家に着いた。


私は彼女の荷物を持って部屋の中に入って行った。


無邪気な妹は,姉の病気が治って帰ってきたと思ってはしゃいでいる。


思わず胸を締め付けられる瞬間であった。


香織の自宅療養が始まった。


これからが本当の地獄の始まりであった。




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