明日が欲しい

≪エピソード 3≫





朝からジメジメしていた。外は雨が降っているようだ。


今日から夏休みである。


先日、香織のお母さんから聞かされた彼女の病気の事を、詳しく調べていた僕は頭の中がパニックしてしまい,夏休みだと言うのに浮かれた気分には成れなかった。


色んな書物に目を通したが,重症再生不良性貧血に関する治療法は骨髄移植しかなく,放っておけば治るような物じゃ無く,唯の貧血でもない。


それに付いてもっと詳しく調べていたら,その骨髄移植がいかに大変で,輸血するようなA・B・O型であれば誰でも良いと言う訳ではなかった。


HLA型と言うのは,とても細部に渡って適合していなければいけないし,その確率は何万分の1と言う物だ。


今よりかなりドナー登録者の少ないその当時としては,かなり絶望視されていた病気である。


現在,登録者数は12万人以上,そして骨髄移植希望者は8000人以上,現時点での骨髄移植実施数は2000人以上と確実に骨髄移植希望者(ドナー登録者)は増えてきている。


海外とも協力しあってアメリカや韓国からのドナー登録者の助けも得られる。


しかし,その当時のドナー登録者数は微々たる物であった。


おまけに,1人の骨髄移植手術には数十人からの献血も必要である。




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