明日が欲しい
検査漬けの日々で,何時の間にか中2の夏休みも殆ど終りに近ずいた頃,彼女の精密検査は一通り終った。
いつ発病するとも判らない状態で,不安な気持ちは有るが,取り合えず明日退院出きると聞いて,香織と共に喜んだ。
彼女は,もう完治したと思っているのだろう。
しかし本当の事は未だ言ってはいけないと,彼女の両親から言われているので,退院おめでとうを連発するしかなかった。
翌日,病院に行ったら香織の両親が来ていた。
一通り荷物もまとめてあってさっぱりとした病室になっっていた。
『浩くん,遅い!
遅刻やでぇ。
何しよったん?』
いきなりの先制攻撃である。
本人は,治って退院だと思い,はしゃぎ回っている。
『悪い悪い!チョット寝坊してなぁ。
それでも急いで来たんやでぇ。
そんでも,途中工事中で道は混んでるし,渋滞抜けたと思ったらバスがパンクして,……』
『もうえぇわ!
ほんまに浩はヘ理屈ばっかり言うて,そんなん誰が信じるちゅうねん。
アホちゃうか?』
と,いつも通りの会話で始まった。
バカ言うて無かったら行き成り沈み込んでしまいそうになる。