明日が欲しい

新年を迎え





なかなかドナーが見付からないまま,新年を迎えた。


元旦は電話だけで挨拶を済ませたが,昼過ぎになって香織の方から電話が入った。


『なぁ,明日うちんち来てくれるんやろ?

うちなぁ,最近メチャ元気やから初詣に行かへん?

願掛けもしたいし,たまには外に出たいやん。』


『ダメ!

約束したやろ。

無理ばっかり言うたら困るわ!

あんな人がいっぱいいる所に行ったら疲れてしまうやろ。

出来るだけ大人しくしとかんと会えんようになってしまうわ。』


『ゴメン!

解った。

そしたら,うちんちに来てくれるやろ。

それやったらかまへんのんやろ。』


『うん!

解った。

明日の10時くらいに行くわ。』


電話を切ってから暫く,ジッと彼女の事を考えていたが,やっぱり初詣は無理であろう。


彼女の今の状態では,下手をすると何が起きるか解らない。


それでなくても,最近吐血したり,貧血を起こして倒れたりと言うのが頻繁に起きている。


感染症に掛っても困るし、そんな事を繰り返していたら、結局寿命を縮めてしまうだけである。



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