明日が欲しい
桜
3年になり,私はいよいよ忙しくなってきた。
中間テストや卒業制作,期末テストに向けての予習とやる事はいっぱいある。
その前に,出来るだけ多くの時間を彼女と過ごしたかった。
外には桜の花が咲き乱れ,心地よい風が頬を通り過ぎて行く。
学校の帰りに彼女の家に行き,桜の花びらの押し花を差し出した。
『メチャ綺麗やね。
もう春や。
うちも花見に行きたいな。
去年は無理言うて連れて行って貰うたね。
あそこの河川敷の桜うちのお気に入りやねん。
今年は行けれへんかったけど,元気に成って来年は行こうね。
今度は美味しい御弁当をうちが作って,浩君に誉めてもらうねん。
最近,体調の良い日はお母さんに教えてもらってるんよ。
チョット自信あんねん。』
『そしたら,それまでに俺は車の免許とって,俺が香織を郷東川の河川敷まで乗せて行ってあげるわ。
楽しみにしててな。』
『絶対ね!』
と,その言葉がとても辛く聞えてきた。
来年なんて有るんだろうか?
何時まで・・・後何年・・心の中で繰り返し問い掛けて来た言葉が,こだまとなって響き,頭の中を揺さぶって行った。