明日が欲しい
第3章・・・告知
12月になって,町のあちらこちらからワムの「ラスト クリスマス」が聞えて来る。
後何年彼女とクリスマスを過ごせるんだろう?
と一人呟きながら自分は無駄な時間を過ごしている事に苛立ち,どうにもしてあげれない無力さをのろった。
気が付けば,何時の間にか彼女の学校の前に着いていた。
校門のところで,彼女が出てくるまで待つのが何時の間にか日課になった僕は,寒さをこらえて柱の陰でジッと時間が流れて行くのを感じていた。
30分ほどで現れた彼女が僕を見つけて小走りに寄って来た。
一瞬ドキッとしたが大丈夫みたいだった。
悟られない様に
『何走って来とんの。
転んだら如何するん。
香織はとろいんやから。』
と,おどけて見せながら,たしなめた。
『だって、ずっと待っとったんやろ。
めちゃ寒いやんか,悪いと思って。』
『気にせんでかまわんで。
こっちが勝手に好きで待っとるんやから。
それより,元気そうやの。
でも寒いから早く帰ろう。
こっちが風邪引きそうやわ。』
『うちも風邪引きそうや。
風邪引いたら看病しに家まで来てくれるやろ?』
『アホ言うな!
何とかは風邪引かん言うやろ。
香織は大丈夫。
病気が怖がって逃げて行くよ。』
と言ったが,心の中ではもうドキドキしていた。
免疫力がかなり低下している彼女にとって、風邪を引くことも避けなければ行けないのが現状である。