明日が欲しい
それから2~3週間は,それなりに元気に過ごしていたが,或る日朝から具合が悪いと、病院に診察に行った香織は増血剤と抗生剤を点滴で打っていた。
『うちの病気っていったいなんなんやろ。
貧血にしてはえらい治りが悪いし,まさか癌ちゅうわけでもないみたいやし, 今度院長先生に聞いてみよ。』
と,独り言を言いながら何時の間にか眠ってしまった。
目が覚めた時、僕が目の前に居たのがよっぽどショックだったみたいで,
『うちの寝顔見たやろ。』
と食って掛かった。
『あぁ,見たよ。
あんまし可愛いので思わずキスしてしもうたわ。』
と嘯いていたら,
『うちのキスは高いんやで。返してな。』
と顔を赤らめながらも笑っていた。
点滴のお陰で大分元気になったみたいである。