天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(後編)
あとの二体も、天使から離れ、飛び去っていく。

「あいつは、あたしが倒す!」

九鬼は、転がっている眼鏡を拾った。

「待て!」

歩き出した九鬼の背中に、カレンは叫んだ。

そして、ペンダントの中からあるもの達を取り出し、九鬼に投げた。

「餞別だ!受け取れ!」

「こ、これは!?」

自分の足下に落ちたものを見て、九鬼は目を見開いた。

それは、左足と胴体…左腕のオウパーツであった。

「防衛軍が、回収していたものだ。やつらに使われるのは危険だから、盗んで、碑石の中に封印してた。ピュアハートも封印できるから…何とかなるかなって、入れてみたら入った」

小さな碑石であるが、中に亜空間でも広がっているのかもしれなかった。

「お前なら、使えるだろ?」

カレンは、口許を緩めた。

「!?」

次の瞬間、オウパーツ達は勝手に九鬼の体にくっ付いた。

「いけ!」

カレンの叫びに応えるように、九鬼は眼鏡をかけた。

すると、乙女シルバーに変わったが、姿が少し違っていた。

もともとついていた右足のオウパーツも反応し、乙女スーツと融合し、合体したのであった。

乙女シルバー王バージョン。

進化した乙女スーツを身に纏い、九鬼は天使に向かって、ジャンプした。


「よし!」

頷いたカレンの耳に、怒りが混ざった声が飛び込んで来た。

「よそ見をするな!」

「チッ」

カレンは舌打ちすると、横凪ぎにピュアハートを振るった。

ピュアハートは天使の腕にめり込み、抜けなくなった。

「ははは!」

高笑いをすると、天使は蹴りを放ち、カレンをふっ飛ばした。

「この剣がなければ、何もできまいて!」

天使はピュアハートを腕から抜くと、深々と地面に先まで突き刺した。

「我の糧になれ!人間!」

そして、カレンに向かって、襲いかかる。

「やれやれ〜」

カレンは、蹴りを防いだ腕のダメージを確かめながら、ため息をついた。

「仕方がないな」

カレンは、ゆっくりと全身の力を抜くと、軽く拳を握った。



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