天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(後編)
「こ、これは!?」

ディーンは、目を見開いた。

ジャスティスの体の中にあったのは、ヤーンが隠し持っていた魂だった。

「哀れな魂達よ。せめて私の糧になり、人々の滅びに役立てよう」

アテネは、2つの球体を一つにすると、まるで抱き締めるように両手で包み込んだ。

「こ、これで…完璧だ。人が、世界が…魔が滅ぶ」

「させるか!」

突然、後方から声がした為、ディーンははっとなり、慌てて振り返った。

「ア、アルテミア!そ、それに赤の王!」


「赤星!」

アルテミアは、ディーンの向こうで光の球を吸収するアテネを見て、唇を噛み締め、

「間に合わなかったか!」

さらにスピードを上げようとした。

「いや、間に合ったよ」

僕は、アテネを睨み付け、

「ここで倒せば、いい!」

アルテミアを追い越そうとした。

「させるか!」

ディーンは、僕達に向かってきた。

「どけ!」

僕がディーンに襲いかかろとするのを、アルテミアが邪魔した。

「赤星!お前は、あの女をやれ!」

身を捻り、空間で回し蹴りをディーンに叩き込んだ。

「アルテミアか!」

ディーンは、腕で蹴りをガードした。

その間に、僕はアテネに向かった。

「行かせんと言ったはずだ!」

ディーンは手を伸ばし、僕の肩を掴もうとした。

その瞬間、雷鳴がディーンの体に落ちた。

「何!?」

絶句するディーンの腹に、アルテミアのパンチが決まった。

「お前の相手は、あたしだ!」

身を捩らすディーンに、アルテミアはエルボを叩き込もうとした。

しかし、ディーンは後方に逃げた。

空振りをなった肘に、アルテミアは舌打ちした。

「流石は、魔王ライとティアナ・アートウッドの娘」

ディーンは距離を取ると、不敵に笑った。

「何がおかしい?」

眉を寄せたアルテミアに、ディーンは言った。

「嬉しいのさ。あの2人こそが、最大の壁だったからな。しかし、彼らがいなくなり、我々の使命を邪魔するものはいなくなったと思っていた!しかし、お前がいた!天空の女神がな」
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