天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(後編)
「フン」

いつまにか、僕の後ろに移動したアルテミアが、背中を睨んでいた。少し微笑みながら。

「最後は、あたしの技か…。でも、炎が混じっていたけどな。それに、地上にダメージを与えない為に、空に放ったとは、余裕だったな」

「…」

少し嫌味のように言うアルテミアの言葉にも、僕はしばらく答えられなかった。

その様子に気付き、アルテミアは笑みをやめ、空を見上げた。

「さっきの天使が、人間の姿をしていたからか?お前は、本当に」
「違うよ」

僕はやっと、口を開いた。

「最後のレーンって言葉が、気になっただけだよ」

僕は振り返り、アルテミアに笑いかけた。

「そうか…」

アルテミアは頷き、

「お前は…そのままでいいよ」

小声で呟くように言った。

「え?」

最後の言葉が聞こえなかった為に、聞き返した僕。

アルテミアは顔を真っ赤にして、

「帰るぞ!」

それだけ言うと、翼を広げ、空に飛び上がった。

「え!?どこに?」

戸惑う僕の手から、槍は2つの物体に戻った。そして、チェンジ・ザ・ハートはどこかに飛んでいった。

「ア、アルテミア!」

仕方なく、僕はアルテミアを追って、空に飛び上がった。




「ジャスティン総司令官。またいずれ、天使は再び…」

ドレイクの心配に、ジャスティンは肩をすくめ、

「現れることはない…と信じよう。そこまで、愚かではないと。それに」

カードを胸ポケットにしまった。

そして、ゆっくりと歩き出した。

「我々防衛軍も、気を付けないといけない。本当は、今回のことは、我々の不祥事でもある。いつまでも、彼に頼るのではなく、我々が民衆を守らないといけない」

「そ、その通りであります」

ドレイクは、ジャスティンの背中に敬礼した。

「いこう。やることは多い。天使達の動きは、最小限に終わったが、それでも民衆に説明責任はあるからな」

ジャスティンとドレイクは、休む間もなく、防衛軍に戻り、奔走することになった。
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