天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(後編)
「最後まで話を聞け!」

舞のあまりの剣幕に、高坂は思わず背を伸ばした。

「あ、はい!」

「あんたは、女神の力を手にいれたんだろうが!その銃の力なら、道を作れるかもしれない」

舞は、直立不動の高坂の手をじっと見つめた。




「…で?」

こちらの世界でも、新聞部の部長になったさやかが、新聞片手に中央に陣取るソファに座りながら、くつろいでいた。

「だから、こいつの力を使って、ブルーワールドに戻ろうとしたんだが…まったく反応がないんだ。何回引き金を弾いてもな」

前に座る高坂は、2人の間にあるテーブルに、装飾銃を置いた。

「ふ〜ん」

さやかは、銃の横に新聞を置くと、装飾銃を手に取り…13の銃口を高坂に向け、引き金を弾いた。

「え!」

驚いた高坂は、ソファから逃げようとしたが…銃口からは何も発射しなかった。

「成る程…そのようね」

一応何度も引き金を弾くさやかに、戦慄を覚えた高坂は額から冷や汗を流した。

「お、お前!殺す気か!」

高坂のもっともな言葉に、さやかはテーブルに銃を置いた後にこたえた。

「女神の武器っていうから、女だったら、撃てるかもと」

しらっと言い切るさやかに、高坂はこれ以上文句を言うのをやめると、ソファに座り直した。

「女神の力が使えないとなると…」

あてにしていたことがなくなり、高坂はため息をつき、肩を落とした。

「女神の力か…」

さやかはそう言うと、もう一度装飾銃を手に取り、しげしげと眺めながら、高坂を見ずに話し出した。

「そう言えば、知ってる?この学園で、最近まことしやかに話されている話を?」

「うん?」

高坂は、顔を上げた。

さやか、は銃自体を観察しながら、話しを続けた。

「一部の人だけが入れる喫茶店が、あるらしいの」

「喫茶店?」

「そうよ。噂になって、数人の生徒が言ったらしいんだけど…ほとんどが店を見つけられずに…帰ってきた」
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