天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(後編)
「幽霊屋敷か何かか?」

高坂は、眉を寄せた。

「幽霊屋敷ではないらしいわ。普通の喫茶店みたい。但し、その店に入った者は…二度と戻れないそうよ」

「ちょっと待て!」

高坂は、ソファーから身を乗り出すと、話を止めた。

「おかしいだろうが!入ったら、二度と戻れないだろ?どうして、そんな話が広がるんだ」

「話は最後まで、聞くように」

さやかは、装飾銃のグリップを握り締めながら、笑いかけた。

「は、はい」

無意識に姿勢を正す高坂。

「帰ってきた人がいるのよ。喫茶店には入らずにね」

「いるのか!」

「うん。その子は、目が虚ろで少し様子がおかしい生徒を発見して、心配になって後をつけたら、喫茶店に入るところを見たの。だから、その子は、気分が悪くなって、休む為にお店に入ったんだろうと思って、その場は帰ったの。だけど、その生徒はそれから、一週間帰ってきていない」

「え」

「それを知ったその子は、学校の担任に報告したわ。そして、両親と担任が、その喫茶店に向かったけど…見つけることはできなかった。しかし、その子には見えるのよ。その喫茶店がね」

「成る程」

高坂は、頷いた。

「今回の事件は…この世界の謎に迫るかもしれないわ」

「しかし、それとその銃が何か、関係があるのか?」

「さあ〜」

さやかは肩をすくめ、

「でも、女の勘よ」

その後に、高坂にウインクすると、再び銃口を向け、引き金を弾いた。

「やっぱり出ないわ」

「あのなあ〜」

残念そうなさやかを、高坂は睨んだ。




「まったく!」

新聞部の部室を出た高坂は、正門を目指し歩いていた。

「依頼者は、その目撃者。依頼内容は、茶店で消えた生徒の確保。よろしくね。学園情報倶楽部様」

さやかを通して勝手に、依頼を受けられたが、仕方なく…高坂は待ち合わせ場所に向かっていた。

正門の方から、高坂に向かって、頭を下げる女子生徒を発見した。




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