天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(後編)
少し目を細めた。

「真実とは何ですか?」

「そ、それは…」

ここで、高坂は口ごもってしまった。

なぜならば、店が見えるということは…。

(彼女は、知っているのか?まだ気付いていないならば…言わない方がいいのではないか?この世界は…)

「教えて下さい!」

「そ、そうですね〜」

誤魔化す為の言葉を探っていると、前から輝が走ってきた。

「部長!」

息を切らし、駆け寄ってくる輝を見て、姫百合は驚きの声を上げた。

「あなたは!」

「げっ!妹君!」

なぜか姫百合を見て、顔を赤くする輝。

「お前」

高坂は輝の様子を見て、彼が答える前に訊いた。

「1人なのか?」

「す、すいません!あっちの部長とはぐれまして!」

「はぐれた?」

「はい。何でも、行方不明になった生徒を発見したと!例の店には、いなかったですけど」

輝は息を調えると、振り返り、道を往来する人の流れを見つめ、

「目を離したのは、ほんの数秒なんですが…」

真琴の姿を探した。

「どっちを探した?」

高坂は、人の流れを見つめ、訊いた。

「こう振り返って、消えたので、右に流れる方を」

一回転した輝は、探した方を指差した。

「有無…」

顎に手を当て、考え込む高坂に、姫百合が言った。

「お姉ちゃん、足が速いから。それに、見つけるまで、戻ってきませんよ」

その言葉に、輝は高坂を見た。

「でも、よかったです。見つけたんですよね。さっきの店が、誘拐した訳ではなかったんですね」

少し気にいった店が、犯罪にかかわっていないことに、姫百合は安堵の息を吐いた。

それに、姉のこともあまり、心配していなかった。

事実…真琴は数時間後、自宅に帰ってくることになる。

少し目を虚ろにさせて。




「有無…」

まだ考え込んでいる高坂に、輝と姫百合の会話が止まった。

その時、姫百合の携帯が鳴った。

制服のポケットから、携帯を取り出した姫百合。

「会長!」

かかってきた相手に気付き、慌てて出た。

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