天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(後編)
「戦いは終わってはいない!数万人の犠牲とともに、舞台が変わっただけ」

九鬼は理香子に目をやると、最後の願いを告げた。

「姫百合や月影のみんなを頼む」

「真弓!」

「いつもごめんね。あなたには、迷惑をかけてばかりで…」

それが、九鬼の最後の言葉になった。

目を瞑ると、力を闇の女神の力を使い、九鬼はブルーワールドへの扉を開いた。

「生徒会長!」
「真弓!」





(そう…何も恐れることはない)

九鬼はゆっくりと、目を開いた。

(闇は恐れるものではない。常に、身の回りにあるもの。恐れるな。ただ…受け入れろ!)

目を開いた瞬間、九鬼はブルーワールドの大月学園にいた。

ほとんど変わらないように思えた。

しかし、匂いが違った。

(魔物…いや、血の匂い!?)

はっとして、振り返った九鬼の前に、軍服を着た男が立っていた。

「ずっと不在だと聞いていたが…やはり、帰ってきたか!」

男は、折り畳んだ鞭を持っていた。それを両手で伸ばすと、にやりと笑った。
 
「あなたは!?」

殺気を感じて、思わず構えた九鬼を見て、男はさらに嬉しそうに笑った。

「誇張ではなかったようだな。結城大佐を倒し、月の軍団を作る計画を邪魔したのが、たった1人の女子高生と聞いた時には!もっとましな嘘をつけと思ったものだがな!」

いきなり、男は攻撃を仕掛けてきた。

男の手から放たれた鞭は、音速を越えた。

「チッ」

九鬼は、後方に飛んだ。

「無駄だ!」

鞭は九鬼がいた場所で跳ねると、四つに分裂した。

「な!」

九鬼は空中で回転し、窓側の柱を蹴ると、飛ぶ方向を変えた。

四本になった鞭は、壁や窓を突き破った。

「は!」

さらに、九鬼は天井を蹴ると、男に向かって、かかと落としの体勢に入る。

「フン」

男は笑うと突然、鞭を離した。

「な」

男の手から離れた鞭のグリップが割け、口のようになった。


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