天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(後編)
「どけ!」

美和子に用がある九鬼は、2人を蹴散らそうとしたが、金髪の前にいたものが盾となって、立ち塞がった。

(土偶!?)

九鬼は、そのものを真っ直ぐ見た瞬間、縄文時代の土偶が頭に浮かんだ。

「クッ!」

九鬼の渾身の拳が、土偶に突き刺さった。

次の瞬間、土偶は砕け散った。

「!?」

九鬼はあまりの感触のなさに、砕けた土偶を見て、絶句した。

中身がなかっのだ。

「驚くことはない」

金髪の男は、砕けて破片となった土偶の前に出た。

そして、九鬼を見据えると、こう言った。

「こいつらは、元々中身がない」

「!?」

九鬼の目の前で砕けた破片は、地面に落ちることなく、空中で回り出すと、金髪の男の中に付着し出した。

「こいつは、鎧さ。生きたね」

金髪の男の体を、黄緑の鎧が包んだ。

「な!」

九鬼は構えた。

「こいつの名は、ディオネ。自然の鎧だ。そして、君の後ろにいるのが、水の鎧タイタン。火の鎧エンケラドゥス」

空中で、激突した青と赤の鎧を、背中で感じながら、九鬼は金髪の男を睨んだ。

「生きた鎧か」

「そうだ」

金髪の男は、顔の表情を引き締めると、軍人達が落とした剣を手に取った。

「君の鎧…そして、オウパーツと違い、こいつは人を守る為につくられた鎧」

そして、剣先を九鬼に向けた。

「月影。報告は聞いている。しかし、その通りかな?」

「確かめてみろ」

九鬼は、右手を突きだし、指で手招きました。

その瞬間を狙っていたように、後ろから襲いかかろうとするタイタンとエンケラドゥスに、金髪の男がいた。

「邪魔するな」

その言葉を聞いた鎧の動きが、止まる。

「フッ」

九鬼は笑った。

「我が名は、レーン。防衛軍の大佐だ」

レーンの言葉に、九鬼は構え直す。

「月影!九鬼真弓!」

「フッ」

互いに笑うと、攻撃体勢に入った。

「参る!」
「参る!」

2人は同時に、動いた。
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