天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(後編)
「フン!」

レーンの突きからの横凪の斬撃を、ジャンプで交わした九鬼は、右足を空中で突きだした。

「ルナティックキック零式!」

九鬼の蹴りが、レーンの左肩にヒットした。

「やはりな」

蹴りを喰らったレーンは、フッと笑うと、手首を返し、剣の柄を九鬼の脇腹に叩き込んだ。

「!?」

大したダメージを受けなかったが、蹴りの体勢でバランスを崩した九鬼は、真横に倒れると、回転し、地面に着地した。

「チッ」

舌打ちすると、蹴りが決まった肩口を確認し、再び構え直した。

「噂通りの甘ちゃんだな」

レーンは剣を下ろすと、顎で九鬼の向こうに控えているタイタンとエンケラドゥスに命じた。

動きを止めていた二体は一斉に、九鬼の後ろから攻撃を仕掛けて来た。

「は!」

九鬼は振り向き様の回し蹴りを、二体に叩き込んだ。

右足がうねりを上げると、オウパーツの特性により、砂になる二体。

「人が中にいれば…オウパーツの力を使わないか」

レーンは倒れている兵士から、もう一本剣を拾うと、左右に腕を広げた。

「!?」

レーンに向かって構えようとした九鬼は、砂を化した二体の鎧の残骸が、いきなり舞い上がり…一瞬で元に戻ったことに驚いた。

「オウパーツは、近付く者をすべて原子レベルで破壊し、すべてを砂に返す…神の鎧。ならば!」

レーンはゆっくりと、左右の腕を動かすと、胸元で剣先をクロスさせた。

「元から砂になることを前提して、作ればいい。こいつらは、こうして生まれた。オウパーツに対抗する為にな!」

レーンはクロスしていた剣先を、同じタイミングで、高速で引いた。

剣先に火花が走ると、レーンの姿が消えた。

「チッ!」

九鬼は身を捩ると、オウパーツがついた右足を虚空に叩きつけた。

その攻撃を、左手にある剣で受け止めたレーン。一瞬で、間合いをつめていた。

「やるな!」

レーンは笑うと、九鬼に体を密着させた。

「しかし!密着した体勢から、蹴りは出せまいて!」

それから、右手の剣を回転させると、背中から突きさそうとした。


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