天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(後編)
(魔力を使うことなく、カードシステムだけに頼るか…)

この世界に来たばかりのことを思い出し、懐かしくなっていた。

それだけではない。

この辺りの風景が、思い出の景色と似ていたからである。

(地形はいっしょか)

俺は、ゆっくりと歩き出した。

実世界の高知県には、親戚がいたのだ。

だから、何度か遊びに来たことがあった。

いなかのように思われるが、空港辺りから高知市内は、開けていた。想像するよりも緑が少ない。

(うん?)

周囲への見晴らしがいいから、俺は誰もいないことを確認していたはずだった。

なのに、真後ろから、何かが飛んで来たのだ。

空気の震えで、軌道を読んだ俺は、軽く横に飛んで、攻撃をよけた。

(針?)

俺がいた空間を切り裂いて、地面に突き刺さったものを見て、眉を寄せた俺が、地面に着地する数秒。

そのコンマ零秒の間、俺の周りに、4人の黒装束の人間がテレポートしてきたのだ。

姿を見せたと同時に、4本の刃が、俺に襲いかかってきた。

「は!」

気合いとともに放たれた斬撃は、俺の体を斬り裂いたはずであった。

しかし、4本の刀は、互いにぶつかりあっていた。

「ば、馬鹿な…」

一番年上だと思う中年の男が唖然と一瞬した後、唇を噛み締めた。

「テレポート斬りを、かわすなど!」

交差する刃が、男の怒りで震えていた。

「人間か!」

再び4人の姿が消えた。

テレポートしたのだ。

「は!」

俺のそばを移動する度に、剣を振るう4人。

(!?)

その攻撃をかわしながら、俺は絶句していた。

「フォースアタックを仕掛けるぞ!」

中年の男の言葉で、俺の前に縦で並ぶ4人。

「は!」

一番前になった大柄な男が、突きの体勢で向かってきた。

横幅がある為に、後ろの三人が見えない。

「ちっ」

俺が突きを避けると、男の後ろにいた細長い体をした男が、死角から横凪の斬撃で、目を狙ってきた。

咄嗟に、後ろにジヤンプした俺に、2人を踏み台にして空中から、上段の構えで襲いかかってくる中年の男。



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