天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(後編)
「赤星!もう一発!」

アルテミアが命じたが、俺は銃口を下ろした。

「消えた」

天使は、バスターモードの直撃を受けたが、その時の光に紛れて、テレポートしていた。





「間に合ったか」

ブラックリストと言われた親衛隊がいた部屋中に、硝煙が立ち込めていた。

幾多は、銃をしまうと、部屋から出た。

そして、廊下中に転がる職員達と軍人達の死体を見た。

建物の前で、天使が生まれた瞬間、一部の人間が狂いだしたのだ。

それを目撃した幾多は、ブラックリスト達がいる部屋を目指した。

何故か…部屋の中にいる者達を、殺さないといけないと思ったからだ。

(ヤーンが吸収した黒い気…。暴れ出したやつの体からも、発生しているように見えた)

幾多は空になった銃を捨て、廊下で死んでいる軍人の手にある銃を奪った。

(外傷はない)

相討ちではなかった。狂った人間には、傷がない。

しかし、死んでいた。

(生き残りは、いるはずだ。だけど)

幾多はいくつか銃を拾い、自分のカードにポイントを移動させると、本部から出ることにした。

(長居は無用だ)





「やはりな…」

幾多以外に、脱出者はいた。

ジャスティン・ゲイである。

彼はすぐに、異変に気づくと、自力で牢から出てた。

そして、本部内の窓から、綾瀬太陽と天使を発見した。

そして、太陽の背中を見ただけで、彼の正体に気付くと、本部内を走り回り、生存者を探した。

しかし、見つけることができなかった為に、すぐにテレポートしたのだ。

ブラックリストの部屋は、特殊な空間になっていた為に、ジャスティンは見つけることができなかった。

テレポート後、ジャスティンが向かったのは、魔界と世界を分ける巨大な結界。

その側にある…遺跡だった。

「やはり…これは」

ジャスティンは、天まで覆う結界を見上げた。

「魔物の侵入を防いでいるのではなく…人間を中にいれないようにしているのか」

そう言うと、下唇を噛み締めた。
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