天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(後編)
さらに、女神をつくったのである。
人間だけを相手にするならば、魔神が数人いれば、ことは足りたであろう。
ならば、その天使の媒介である人間を、歴代の魔王達はなぜ絶滅させなかったのであろうか。
その理由は、魔物達にとっても、人間が糧になっていたからである。
魔王ライは、人間もどきなる代用をつくり、人を滅ぼそうとしたが、それは…できなかった。
一方、人間側も馬鹿ではなかった。
救いの為の神の降臨が、人間を滅ぼすことに気付いた権利者達は、人を殺すことを最大の罪とし、天使の発生を防ぐことにした。
魔神達を神レベルと呼ぶことで、神という言葉に畏怖を与えた。
そして、人神なるものをつくり、信仰をそちらに向けたりもした。
しかし、天使は再び降臨した。
世界を無にする為に。
「レクイエムか…」
僕の言葉に、風に乗るメロディが笑った。
「そう」
突然、瞼の向こうに眩しい光を感じて、僕はゆっくりと目を開けた。
甲板から広がる海面の上に、八枚の翼を広げ、佇む…天使がいた。
「レダ」
僕は瞼を開けると、光に目を細めた。
「赤星浩一…いや、赤の王よ。すべての魔物を倒しなさい。それが、人間の為になるのよ」
光輝く後光を背にして、天使は微笑んだ。
「く!」
僕は、両拳を握り締めた。
すると逆に、天使が目を瞑ると、再び歌い出した。
鎮魂歌を。
その歌声に、導かれるように、空母の周囲の海面から、無数の天使達が姿を見せた。
まるで、光のイリュージョンのように明るくなる海。
「く、くそ…」
僕は、言葉を吐き出した。
赤星浩一が、防衛軍に入ったのは、人間を人質にとられているからではなかった。
いや、とられてはいるだろう。
防衛軍ではなく、天使に。
しかし、その事実を知る者は少ない。
人間だけを相手にするならば、魔神が数人いれば、ことは足りたであろう。
ならば、その天使の媒介である人間を、歴代の魔王達はなぜ絶滅させなかったのであろうか。
その理由は、魔物達にとっても、人間が糧になっていたからである。
魔王ライは、人間もどきなる代用をつくり、人を滅ぼそうとしたが、それは…できなかった。
一方、人間側も馬鹿ではなかった。
救いの為の神の降臨が、人間を滅ぼすことに気付いた権利者達は、人を殺すことを最大の罪とし、天使の発生を防ぐことにした。
魔神達を神レベルと呼ぶことで、神という言葉に畏怖を与えた。
そして、人神なるものをつくり、信仰をそちらに向けたりもした。
しかし、天使は再び降臨した。
世界を無にする為に。
「レクイエムか…」
僕の言葉に、風に乗るメロディが笑った。
「そう」
突然、瞼の向こうに眩しい光を感じて、僕はゆっくりと目を開けた。
甲板から広がる海面の上に、八枚の翼を広げ、佇む…天使がいた。
「レダ」
僕は瞼を開けると、光に目を細めた。
「赤星浩一…いや、赤の王よ。すべての魔物を倒しなさい。それが、人間の為になるのよ」
光輝く後光を背にして、天使は微笑んだ。
「く!」
僕は、両拳を握り締めた。
すると逆に、天使が目を瞑ると、再び歌い出した。
鎮魂歌を。
その歌声に、導かれるように、空母の周囲の海面から、無数の天使達が姿を見せた。
まるで、光のイリュージョンのように明るくなる海。
「く、くそ…」
僕は、言葉を吐き出した。
赤星浩一が、防衛軍に入ったのは、人間を人質にとられているからではなかった。
いや、とられてはいるだろう。
防衛軍ではなく、天使に。
しかし、その事実を知る者は少ない。