ボーイフレンド
徹ちゃんもそうだけど、鈴木君もかなりお酒が強い。
あたしより速いペースで焼酎ロックを飲み干したし、いくら飲んでも顔色を変えない。
そしてこれはあたしや徹ちゃんとは違うところで、酔っ払ってもめちゃくちゃなことを言わない。
そんな様子が、なんだか大人に見えた。
あたしは悔しくなって、やけくそで焼酎を飲み干す。
「次は日本酒だっ」
ベルを鳴らして店員を呼ぶと、すかさず鈴木君が、
「日本酒二合。おちょこ二つね」
と言って、手早く注文してしまった。
「え?」って顔をして鈴木君を見ると、
「どこまでもついていきますよ、師匠」
なんて言って、ニカッと笑った。
「ちょ、鈴木さん、俺の分は?」
徹ちゃんが慌てて言う。
「あ、悪い。すみませーん、おちょこ、もう一つ」
「ひでぇ」
徹ちゃんが、心底傷付いた顔をしたので、あたしと鈴木君は顔を見合わせて笑った。