引っ込み思案な恋心。-2nd
「このまま送るよ。…まー、こんな時間だけど、夏だからまだ外は明るいし。俺が柚ん家往復しても大丈夫だろ」
「ありがとう」
「おう。…やっぱ柚と少しでも一緒にいたいと思うからな」
そう拓に言われると、やっぱり照れてしまう。
少し赤くなったこの顔…、傾き始めた日差しで上手く隠れてるかな?
長くなり始めた二人の影も、やっぱり同じように手をつないでる。
まるで鏡を見ているようで、ちょっと恥ずかしい。
でも…
離したくはない。
この少し大きな拓の手は…、ずっと私の手だけを温めていてほしいんだ。
「あっ。ちょっとストップ!」
「え!?」
いきなり拓が歩くスピードを緩めた…と思ったら、私は拓に勢いよく引っ張られた。
そこは、本屋さんの前。
「わりいわりい。目当てのマンガ発売されてるかと思ったけど、違ってた」
「びっくりしたー。拓いきなり引っ張るんだもん」
…と、少しふくれっ面になりながら、苦笑いをしている拓の顔を見上げた。
…あれ?
拓、背が伸びた…?
いつも通りの角度で見上げたつもりだったけど、それよりも高い所に拓の顔がある気がした。
「ごめんごめん。もー寄り道しねえから。帰ろーぜ」
「拓…、今気付いたけど、少し背が高くなった?」
「え?」