引っ込み思案な恋心。-2nd
「手ぇつなぐ以上のコト、しねーつもりだったのに。俺、全然我慢強くないよな」
何分かぶりに見る拓の顔は、夕焼けに染まっているからなのか、照れくさいからなのか…、赤く染まっていた。
「嫌だったらホントに言えよ?俺、次に柚にビンタされたら生きてけないかも…」
「もうビンタはしないよ。それに……、さっきのは確かに初めは少し怖いかもって思ったけど、何か大丈夫だった」
「え?マジで?」
「でも、あれ以上近付いてたら、パニックになってたかも…」
「…あ〜、あれが限界ってコト…?」
「ごめん、完全に大丈夫って言える感じじゃなくて…」
「いや、今の柚の気持ちの準備具合は何となく分かった」
納得したような顔をした拓は、次に私のバッグを指差してきた。
「柚、メール来てたんじゃなかったっけ?」
「…あっ、忘れてた!誰だったんだろう…?」
拓に言われて、私はまた慌ててバッグの中をあさり始めた。
そしてようやくバッグの底の方に眠っていた携帯を取り出して画面を開き、メールをチェックした。
「…あ、あかねちゃんだ。もう勉強会の事聞いてくれたんだ…」
「勉強会?またやる計画立ててんの?」
「うん。みんな夏休み忙しいし、宿題効率的にやれたらいいかなって」
「確かにな。俺なんて遊んでるわけじゃねーのに宿題全然手ぇつけてねえし。柚はもう完璧なんじゃね?」
「え、まあ…大体は」
「さすがだな!……で?いつ勉強会やるって?」