引っ込み思案な恋心。-2nd
すると、私と同じように黙っていた拓が口を開いた。
「…そっか。良かったな。細井には何というか…、幸せになってもらいたかったから。俺は柚しか幸せにできないし」
「拓…?」
まるで親のように…、遠くからななっぺを見守ってきたかのような言い方だった。
もしかしてななっぺ…、あえて私と拓の前で発表したのかな?
あんな出来事があったからこそ……。
「ななっぺ、おめでとう。私も詳しいなれそめが知りたいな」
そう思ったら、素直にななっぺにお祝いの言葉を言えた。
するとななっぺは微笑みながら私に答えてくれた。
「ありがとう、柚。言っとくけど……、ヤケじゃないからね。ちゃんと考えた末に付き合うことにしたんだから」
「でもななっぺは色んな人に告白されてるのに、どうしてその先輩にしたの?」
「なかなかいい質問するね、柚」
拓の部屋は冷房が効いてて、クーラーからのひんやりした風が頭をなでる。
それが気持ち良かった。
「前から合唱部の友達から言われてはいたんだ。安森(やすもり)先輩…、彼氏の名前なんだけど…が、私のことを好きらしいって。でもあんまり話したことなかったし、ホントなのかなって…」
「へー。それは確かに好きまでいかなくても気にはなるかも…」
映美佳もグラスにオレンジジュースを入れながら話を聞いていた。
真剣に話を聞いてるのに、隣にいた拓がテーブルの下で私の手を握ってきて、思わず驚いて拓の顔を見てしまった。
そしたらまた拓がイタズラな笑顔を浮かべてるし。。。