引っ込み思案な恋心。-2nd





「まあ…、あの出来事はしょうがないよ。誰にも落ち度はないと思う。今、こうやってみんな幸せなんだから、それでいいと思うよ。はぁ〜、私もいい人見つけないとね。この中で私だけ独り者じゃん」



「まだあゆとあかねちゃんが残ってるじゃん。大丈夫大丈夫」



「なんか寂しくなってきたから、勉強始めよ?私、家のことで忙しかったから、宿題半分ぐらいしか終わってないんだよねー」



「何言ってんだよ、小谷!俺なんてほとんど手つかずだぞ!!」



「だから、そんなコト自慢しないでよ、瀬川……」






ななっぺが拓に突っ込んでるのを見て思わず笑ってしまったら…





拓がテーブルの下で私の手を握る力が、少しだけ強くなった気がした。





そして、その手がゆっくりと離れた。






「しゃーねーから勉強始めっか。柚、この数学の宿題プリント教えてー」



「拓…、一応自力で解ける所は解いてよ……」






和やかな雰囲気で、勉強会がスタートした。








何か…、すごくホッとしたというか、安心した。





ななっぺ、拓に振られてから結構引きずってたのを知ってるし。





だから私とも気まずい感じが長かった。






でも…、そんなななっぺもやっと、『この人だ』っていう人を見つけることができたんだね。






ななっぺの顔を見てるとすごく穏やかで幸せそうだし……。






私も拓と同じ気持ち。





ななっぺには幸せになってほしいと思う。






1年生の時、傷つけ合った分以上に──。













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