引っ込み思案な恋心。-2nd

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「へーっ、柚が綱引きとむかで?むかでとか俺心配だな〜」



「どうして?」



「他の男子の肩……掴むんじゃないだろうな?だとしたら俺、応援できないかも…」



「大丈夫だよ。私、最後尾で映美佳の肩を掴むことになったから」



「マジか〜。ちょっとホッとした。じゃあ柚のチーム応援しよっかなー」



「自分のクラスはどうするの、拓…」



「あっ、そうだった!両方ってコトで。ところでマサは?さすがに今年はむかでじゃねえよな?」



「うん…、障害物競争と徒競争みたい」



「はははっ!去年むかでであんなに足合わせられなかったらそりゃムリだよなー」






あれから数日後。




放課後の体育祭の練習が始まった。






うちの学校の体育祭は事前練習にかなり力を入れていて、これから体育祭の日まで、放課後の部活も休みになる。








そして放課後の練習時間、ちょうど私と拓の時間が空いて、他の人の練習風景を見ながら二人でグラウンドの一角のベンチに座って話していた。






「拓はやっぱりリレーに出るの?」



「ああ。今年もアンカーになった。そしてもう一つも徒競争。俺のレギュラー種目になっちまったな〜」



「拓らしい種目だよね」



「そーだな。まあ…、去年はリレー2位だったし、今年は絶対1位でゴールしてえな」



「そうだよね。あれは悔しかったもんね。拓が1位になれるように応援してるよ」



「柚こそ…、自分のクラスの応援もしろよ」



「あっ、そうだった」






はははっと笑うと、急に拓が私の手を握ってきた。





そしてその手はそのまま私達の後ろに回された。





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