引っ込み思案な恋心。-2nd
「それだったら昨日柚からメールなかったのも分かる気がするし。……柚、悩ませてごめん。俺が気付けば良かった。しつこいくらいに電話してれば……」
「ううん!拓は悪くないよ。それよりも拓がリレー出れなかったことが……」
拓…、1年前の悔しい思いを果たすために一生懸命練習してたのに……。
私のせいで、リレーすら出られなかった。
拓の走りを楽しみにしてた人、私の他にもきっとたくさんいたはずなのに…
私が拓の想いと周りの期待を奪ってしまったんだ……。
「俺はいーんだよ!来年があるから!!それに部活で走れるし!でも柚が……。俺、柚がいなくなったら走れない。柚がいるから走れる。だから……」
そこまで拓が言うと、拓の隣から大きなため息が聞こえてきた。
「『柚がいるから走れる』……、かぁ。それ言われたら、私の完敗だわ」
「え……、松沢さん?」
松沢さんは諦めたような表情をした後、ゆっくり立ち上がって拓をパイプ椅子に座らせた。
「杉田さん。私は本気って言ったから、ちゃんと約束、守らせてもらうよ」
「約束……?」
確か、拓が1位になれなかったら…、松沢さんが身を引くってことだったっけ???