引っ込み思案な恋心。-2nd
「覚えてない?昨日のことなのに。私は陸上部を辞めて、瀬川とは必要以外のことは話さないって言ったの」
「…はぁ!?何でこんなコトで松沢が陸上部辞めんだよ?まだ大会あるだろ?」
それを聞いた拓が、また立ち上がりそうな勢いで松沢さんに食いついてる。。。
でも松沢さんは少し目を閉じた後、決意に満ちた瞳を私達に見せた。
「来月、お父さんが転勤することになったの。私は中学卒業まではココにいてお父さんだけ単身赴任するか…、それとも今転校するか悩んでたんだけど、やっと答えが出せそうだよ。私、転校するから」
「転校…って、マジで言ってんのかよ!?」
うそ…。
じゃあ松沢さん、来月にはこの学校からいなくなるってこと……?
「うちのお父さんは転勤族だから。ココにだって、小6の時に引っ越してきた。いずれはこうなると思ってたから…」
「なんか信じらんねえけど…、仕方ねえよな……」
「松沢さんは…、本当にそれでいいの?」
私が松沢さんにそう問い掛けると、松沢さんはふっと笑った。
その笑顔は…、初めて私に向けられた、爽やかな微笑みだった。