引っ込み思案な恋心。-2nd
「俺は…、柚の彼氏だから柚の心配するのが仕事。さっきも言ったけど…、俺は柚がいるから走っていられる。柚と一緒にいたいと思うから陸上部に入ってんだから…」
「うん……」
顔のすぐ横から、拓の声が聞こえてくる。
拓の言葉と身体に伝わってくる優しい体温から、自分がどれだけ想われてるのか分かる。
それが嬉しくて……
緊張とかするのも忘れちゃって……
目が熱くなって、自然に涙が流れてきた。
「柚は俺と別れてもいい覚悟で俺に何も言わなかったんだろうけど、俺は何があっても柚と別れないからな」
「うん…、私も…だよ」
「あれ?柚…、泣いてる?」
隠したつもりだったけど……私の少し震えた声で、拓に泣いてるのを気付かれてしまった。
次の瞬間に拓の顔が見えてきたけど、涙でにじんで表情まではよく分からない。
「俺、ここにいるから…、泣くなよ」
「うん……」