引っ込み思案な恋心。-2nd
映美佳とななっぺが語る『騒動』とは、もちろん夏休みの勉強会の時に拓と倉本くんが私を巡ってケンカしていたことで……
確かにあの時から比べると、倉本くん少し落ち着いて、大人になった気がする…。
すると、私の肩に置いてあった拓の手が離れて、今度は机の下にあった私の手を掴んできた。
…ちょっと!
またみんなが真剣に話してる時にこんなこと……。
私が拓の顔を見ると、拓はやっぱりイタズラな笑顔を私に見せてきた。
「まあ俺的には柚を取られる可能性がなくなったからいーや。馬場、ちゃんとつかまえとけよー」
「言われなくても!」
「何か最近、この勉強会も暴露会みたいな感じになってないか?俺の気のせい???」
拓がそんなことを言うと、みんな「確かにー」と言いながら笑い出した。
そして拓は私の手を更に強く握ってきた。
手に伝わってくる拓の体温は、今日も温かくて優しい。
「じゃー、俺もちょっと発表してもいい?」
「え?何?柚のこと?」
映美佳にそう聞かれて、私も少しドキッとしたんだけど、心当たりがない。
すると拓は嬉しそうな笑顔を見せながら言った。
「いや、違う違う。10月の市の大会で、優勝できたんだよな〜。11月のデカイ大会は4位だったけど」
「すごいじゃん!」
私まで何言われるかドキドキしてたんだけど……
陸上のことだったのかぁ。
陸上の大会は私も観客席からだけどいつも応援に行ってるから、結果は知ってるんだ。
でも、今拓の陸上部での活躍を聞いたみんなは『さすが瀬川』って感じで感心する表情を見せていた。