引っ込み思案な恋心。-2nd
「まあ…、途中入部の割にはちゃんと成果出せたって顧問のセンセーからも褒められたし。でも俺の目指す所は3年の6月にある最後の大会だから」
「いやマジですごいって、瀬川!やっぱ柚の応援が効いてるの?」
「それは一番だよな〜。柚の応援がなかったら、ココまで結果出せないと思うしなぁ」
「拓……」
あゆにそう語る拓の笑顔の中に、真剣さも少しだけ混じっているような気がした。
体育祭の時…、『柚がいるから走れる』って言われたことを思い出す。
拓はきっと、私のために走っているんだと思う。
陸上の大会は大体週末に、郊外の大きな競技場で開かれているから、休みを割いて応援に行くのは結構大変だったんだけど……
そう改めて拓に言われると嬉しさを感じて、思わず手を握る力が強くなった。
その力を感じたらしい拓は、私に向かって優しく微笑んでくれた。
「…てかさあ、多田も彼氏作って応援してもらえば?」
「一言多いよ、瀬川!!」
「あー!そう言えばこれで独り者が私とあゆだけになったじゃん!」
「そう言われてみれば…。こうなったら独り者同盟組もうよ、映美佳」
今年最後の勉強会も、和やかな雰囲気になって良かった。
色んな事があったけど……
今年の最後にこうやってみんなで一緒に笑い合えたんだから、きっとこれで良かったんだと思う。
これからも、この手を離さないようにしよう。
この楽しくて幸せな気持ちを更に温めるように……
私はつながれている拓の手を、またギュッと握った。
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