引っ込み思案な恋心。-2nd
「でも1年も付き合えるなんてなかなかすごいよ?私の周りなんて、持って数か月とかばっかりだし」
「そうかなぁ?」
「うん。すごいことだよ、ホント。あーでもプレゼントの中身が分かってスッキリしたぁ〜。じゃあ部活行ってくるね。また明日ー」
あゆは嬉しそうに私達に手を振って教室を出て行った。
そうなんだ…。
あゆの周りでも1年続いてるカップルってあんまりいないのか。
私なんて、1年経ったことすら気付いてなかったんだけど…。
「さすがに今付けたら校則違反だろうけど、絶対柚に似合うと思うなー。休日に遊ぶ時とか付けてきてよ」
「うん…!でもこんなのもらったことないからどうすればいいんだろう?私も拓に何かあげた方がいいのかな?」
「うーーん。まあ、無理のない範囲でいいんじゃない?」
「私、携帯代自分で出してるから……。あとは問題集とか買ったらあんまりお小遣いが残らなくて……」
残った映美佳にそう言うと、映美佳は「柚らしい!」と笑い出した。
「別に瀬川はお返しとか見返りとか求めてないんじゃない?強いて言うなら、そのブレスレットをちゃんと瀬川の前で付けてあげたら?それだけできっと、瀬川も満足するって」
「…そうかな?」
「男子なんてそんなもんじゃん。あとは迫られたらそろそろ応じるとか……」
「それはまだちょっと無理だよ…」
あれから抱きしめられることはたくさんあった。
やっと…抱きしめられて緊張よりも安心が勝ってきたところなのに、それ以上なんてまだまだ無理だと思う。
拓にも何となくそれが伝わるのか、私に抱きしめる以上のことはしてこない。