引っ込み思案な恋心。-2nd
「だいぶ前に柚から高校の情報色々教えてもらっただろ?俺も考えたけど…、県立ならA高、私立ならT高かW高ってところかと思うけど、どう?」
「うん。私もその3校中心で考えようかと思ってたんだ」
夏休みに倉本くんが通う塾の夏期講習に参加して、塾に置いてあった資料を持ち帰ったり、講師の先生から高校の情報をたくさん聞いた。
そしてそれを拓に伝えて、お互いどこの高校を志望しようか考えていた。
…こうやって考えた結果を伝え合うのは、今日が初めてだと思う。
「…あと、最近ちょっと考えたんだけど……」
「ん?他に候補ある?」
「あの…、笑わないで聞いてね?」
ここ数日の間に、私の中で芽生えてきた気持ちがある。
こうやって口に出すのは初めて。
少し恥ずかしいけど…、拓の前だから言える。
「私、高校に入ったら放送部に入りたいんだ。だから、放送のコンテストに力入れてる学校に行きたくて……」
「放送部???」
「うん。自分でも浮かれてるって少し思ってるけど…、この前の合唱コンクールで進行やった時、緊張したけどもう一回やりたいって思っちゃって……」
「いやっ!!実際柚の声、堂々としてたしカッコよく感じたし、いーんじゃねえか!?全然浮かれてねえし!むしろ目標できて良かったと思う」
「そ…、そうかな?」
ビックリした……。
すごく自信なさげに言っちゃったけど、拓がこんなに真面目に私の目標を肯定してくれてる。
勢いあり過ぎてこっちが卒倒しちゃうくらい。