引っ込み思案な恋心。-2nd
「……てかさぁ」
…と言いながら、拓は自分の机の引き出しをガサガサあさって、ある高校のパンフレットを取り出してきた。
「なら県立のA高校だろ?ほら、放送コンテスト全国大会の実績あるじゃん?」
「すごい、拓。陸上部以外も調べてるんだ…」
「柚にもらったパンフはだいたい目ぇ通したから。宿題だりー時とか…」
「そこは宿題しようよ…」
私の突っ込みに拓は苦笑いしたけど、すぐにまた真剣な顔に戻った。
「でもそれなら今からでも放送部入ればよくねえ?」
「いや…うちの中学、放送部じゃなくて放送委員だよ?お昼の放送ぐらいしか担当してないし…」
「あ〜。そうだった。しかも放送委員は3年間メンバー固定だったなー」
「それに今からアナウンス頑張るよりは受験勉強に集中したいから」
「まーな。アナウンスは高校入ってから勉強すればいーしな」
拓に一番にこの目標を話して良かったかもしれない。
こんなに真剣に私と一緒に考えてもらえるなんて思わなかったよ。
だって……たった一回のアナウンスの仕事で、自分でもこんな気持ちを奪われるなんて信じられなかったもん。