引っ込み思案な恋心。-2nd
「…アナウンスの仕事はもちろん司会進行だけじゃないのは分かってるけど…、私の声でどこまでやれるのか確かめてみたいんだ」
「確かに、体育祭だと実況とか、あとはナレーション?でも柚の声はみんなに癒しを与えられる気がする。現に俺が今癒されてる……」
「拓…?」
「俺、柚が無事に実行委員の仕事やり遂げられたらご褒美あげようと思ってたんだけど」
「え?でもこの前このブレスレットくれたばかりなのに……」
今日は学校から直で拓の家に来たから制服のままなんだけど、放課後になったので左腕にブレスレットを付けていた。
シルバーがキラキラ輝く左手首を掲げると、拓がブレスレットを掴むように私の手首を優しく包んだ。
「付けてくれてたのか?しばらく部活忙しくてデートもできなかったし、柚がまともに付けてくれてるの見るの初めてかも……」
「…どうかな?似合う…?」
「俺の想像通り…いや、それ以上に似合ってる」
そんな嬉しい言葉を言われて、思わず笑みがこぼれる。
すると、拓の私を抱きしめる力が少し強くなった気がした。
「…ご褒美」
「えっ!?」
そのまま右の頬に柔らかい感触を感じた。
ちょっと…、まさか『ご褒美』って……、キス???
驚いて拓の顔がある右側を見たら、拓が少し上目遣いでこっちを見てきてたから、ドキリとした。
「嫌?」
「い…っ、嫌じゃないよ」