引っ込み思案な恋心。-2nd
明らかにいつもの拓の表情じゃない。
いつも楽しそうに笑ってる拓じゃなくて、とてもとても真剣な顔の拓。
きっと…前の私だったら、すぐさま恐怖が沸いてきて、また拒絶していたかもしれない。
だけど…、『怖くないから』っていう拓の言葉がすごく優しく聞こえてきて。
私は拓の魔法にかかってしまったかのように、ゆっくりと目を閉じていた。
すぐに私のポニーテールにした髪の毛に拓の手が触れて……
次に、唇に温かくて柔らかい感触を感じた。
私の唇が熱くなっていくのが分かる。
それと同時に、胸のドキドキがさらに速くなる。
…私、キスされてる……
無言のままの静かな時間が流れる。
だけど、ドキドキだけがやけに大きく聞こえてくる。
何秒かして唇の感触がなくなったから、目を開けると…、そこに拓の微笑んだ顔があった。
「ありがと」
「うん……」
なぜか拓にお礼を言われたけど…、恥ずかしくてまともに拓の顔を見れないよ。
「目、そらさないで」
「え…?」
「もう一回……、させてくんない?」
拓の視線に目を合わせると同時に、また拓の顔が近付いてきて、私は慌てて目を閉じた。
すると、すぐにまた唇に拓の唇が重なってきた。
そして体勢と角度を変えながら何度も拓はキスをしてきて…
本当はそんなに時間が経ってないのかもしれないけど、すごくすごく長い時間に感じるくらい、私達は唇を重ねていた。