引っ込み思案な恋心。-2nd
「ねー、まだ1時間ぐらいなら時間大丈夫なんじゃない?せっかくだからあそこの喫茶店行こーよ?」
いきなりあかねちゃんがそう提案してきて、驚いた私は顔を上げた。
「ああ…、M小の近くのでしょ?じゃあちょっと親に電話していい?」
そう言った映美佳は、自分のバッグから携帯電話を取り出して電話をかけ始めた。
「…柚も行こ?だいたいそんな顔じゃ、家にも帰れないでしょ?」
「えっ!?」
あかねちゃんに言われるまで気が付かなかった。
私…、走りながら泣いてたんだ。
頬にいくつも流れた涙の筋を、あかねちゃんは指で優しくぬぐってくれた。
「ホントはこーゆーコトする役割じゃない気もするけどっ。そもそも柚のコト泣かすなんて、瀬川もサイテーだねぇ」
「あかねちゃん……、ありがとう」
「明日瀬川に会ったら、私がガツンと言っとくから!あ、映美佳の電話終わったみたいだね。どーだった?」
すると映美佳は、携帯電話のボタンを何回か押した後、こっちに向かって指で丸を作ってきた。