引っ込み思案な恋心。-2nd
「まあ…、隣のクラスだし何とかなるだろ。とりあえず、放課後靴箱で待ってて?一緒に帰ろーぜ」
「うん…」
拓はそれだけ私に言って、さっさと上履きに履き替え、3組の教室に走って向かってしまった。
…というか、拓、私とクラス離れて、そんなにショックじゃないみたい…?
ちょっと驚いてたけど、すぐに普通のテンションに戻っちゃったし…。
「あれ?今走ってった男子って瀬川?」
「あ、ななっぺ。おはよう」
そんな拓の後姿をぼう然と見送っていると、また後ろから声が聞こえてきた。
振り返ると、そこにはクラス割りのプリントを持ったななっぺが立っていた。
「おはよう、柚、あかねちゃん。柚とはクラス離れちゃったみたいだね。残念だなー。あかねちゃん、今年もよろしくね」
「ななっぺが一緒だと心強いね〜。よろしく!」
「あー、うらやましいなぁ。私も3組が良かったかも…」
「何?それってうちらがいるからってだけじゃないよね?あーあ、もーラブラブなんだからぁ」
「え?瀬川も3組?女子しか見てなかったよ。そっか…、また賑やかになりそうだね」
あかねちゃんが私をからかうようにつついてきて、その様子を見ていたななっぺはやっと拓が自分と同じ3組であることに気付いたようだった。
そっか、ななっぺと拓がまた同じクラス………。
「あ。心配しないで、柚。むしろ私が瀬川に悪い虫がつかないか監視しといてあげるから」
「ななっぺ……」
ななっぺは、私の少し曇った顔も全く見逃してなかった。
そう。
ほんの少しだけ、私が不安に思ったこと。
それは、ななっぺが拓を好きだったことがあるってことなんだ。