引っ込み思案な恋心。-2nd
映美佳にいきなりそう提案され、意味が分からず戸惑っていると、映美佳は私の顔に近付いて、こっそり耳打ちしてきた。
「まだ話、してないんでしょ?あゆには今のうちに説明しとくから。さっさと行かないと、瀬川帰っちゃうかも」
「あ…、うん」
そうだった!
今日は拓と話をするって決めて学校に来たのに。
朝がダメなら帰りしかないよね。
「ちょっと拓の所に行ってくるね」
私はそう言って席を立ち、隣のクラスへと向かった。
「あれ?柚、どうしたの?」
3組の後ろのドアから拓を探してキョロキョロしていると、それに気付いたななっぺが私に声をかけてくれた。
「あ、ななっぺ。拓…、いるかな?」
「瀬川?アイツ、男子軍団といつもみたいに大騒ぎしながら帰っていったよ。まだテスト残ってるのにさ、大丈夫なのかな?」
「それ、どれくらい前?」
「え…?テスト終わってすぐかな?5分くらい前?」
「そっか…」
5分もあったら、拓なら余裕で家に着いてるし。
…家に寄って話をした方がいいかな…?
そう考えてると、急に私の肩にななっぺの手が乗った。
「どうしたの?考え込んじゃって…。瀬川と何かあった?」
「ななっぺ…」
ななっぺにも、まだ昨日の出来事を言えてなかった。
どこから説明しようか迷っていると、後ろからあゆの声が聞こえてきた。
「ゆーーーずっ!瀬川、見つかった?」
「あゆ……と、映美佳?」
「柚!あゆには昨日のコト軽く説明しといたから。あ、ななっぺ」
後ろから帰る準備が終わったあゆと映美佳が駆け寄ってきた。
よく見たら、私のカバン……あゆが持ってくれてる。
わざわざ持ってきてくれたの???