引っ込み思案な恋心。-2nd
「あっ、あの…、何時頃帰るかとか、聞いてない……よね?」
「さぁ〜?俺らとゲームする時でも、帰る時間はマチマチだからな」
「それなら…、何で倉本くんはここに…?」
すると倉本くんは、持っていた紙袋から漫画の単行本を数冊出した。
「コレ返しに来ただけ。拓がいない時はポストに入れて帰ってるから」
「そうなんだ……」
そして倉本くんは、拓の家のポストに本当にその本を突っ込んでいた。
そっか。
いつ帰るか分かんないんだ…。
待ちたかったけど、まだテスト期間だし、勉強したいから……
ココで待っててもしょうがないかな?
「…何かあったのか?」
「え?」
本を全てポストに入れ、紙袋をたたみ終えた倉本くんに、いきなりそう聞かれた。
でも…
これ、どこまで話したらいいの?
倉本くんが事情を知らないってことは、拓はおそらく倉本くんに何も話してないんだろうし。
相手が男子だから、どう説明したらいいのかますます分からないよ。。。
何も言えずに色々考えていたら、「ふぅ」という深いため息が聞こえてきた。
「ま、お前ら二人のコトなんて、別に俺にはどーでもいーんだけど。明日もテストだろ?拓は知らねえけど、杉田は勉強した方がいいんじゃねえの?」
「でも、このまま話もせずに帰るわけには…」
「中間、挽回するんじゃなかったのかよ?」
「え?」
あれ?
もしかして昨日何気なくみんなで話していたコト…
倉本くん、漫画読みながら聞いてたっ!?
勉強会の後半から黙々と漫画に集中してたから、絶対聞いてないと思ってたのに…