引っ込み思案な恋心。-2nd





「あっ、あの…、何時頃帰るかとか、聞いてない……よね?」



「さぁ〜?俺らとゲームする時でも、帰る時間はマチマチだからな」



「それなら…、何で倉本くんはここに…?」






すると倉本くんは、持っていた紙袋から漫画の単行本を数冊出した。






「コレ返しに来ただけ。拓がいない時はポストに入れて帰ってるから」



「そうなんだ……」






そして倉本くんは、拓の家のポストに本当にその本を突っ込んでいた。







そっか。



いつ帰るか分かんないんだ…。






待ちたかったけど、まだテスト期間だし、勉強したいから……






ココで待っててもしょうがないかな?










「…何かあったのか?」



「え?」






本を全てポストに入れ、紙袋をたたみ終えた倉本くんに、いきなりそう聞かれた。






でも…



これ、どこまで話したらいいの?






倉本くんが事情を知らないってことは、拓はおそらく倉本くんに何も話してないんだろうし。






相手が男子だから、どう説明したらいいのかますます分からないよ。。。










何も言えずに色々考えていたら、「ふぅ」という深いため息が聞こえてきた。






「ま、お前ら二人のコトなんて、別に俺にはどーでもいーんだけど。明日もテストだろ?拓は知らねえけど、杉田は勉強した方がいいんじゃねえの?」



「でも、このまま話もせずに帰るわけには…」



「中間、挽回するんじゃなかったのかよ?」



「え?」






あれ?



もしかして昨日何気なくみんなで話していたコト…





倉本くん、漫画読みながら聞いてたっ!?






勉強会の後半から黙々と漫画に集中してたから、絶対聞いてないと思ってたのに…





< 42 / 270 >

この作品をシェア

pagetop