引っ込み思案な恋心。-2nd
確かに、漢字の間違いはたくさんある。
だけど…、拓の正直な想いであふれているような気がした。
『また同じことするかもしれない』
たぶん、これが拓の答えなんだと思う。
これが、拓が私に話し掛けてこない理由なんじゃないかな…?
「そっか。…何か、拓の気持ちは分かった気がする」
「えぇっ!?こんな間違いだらけの手紙で?さすが柚、頭いーね〜」
「あかねちゃん、感心してどうすんの?」
あゆに突っ込まれて苦笑いしたあかねちゃんは、ななっぺが待っているからと言いながら、そそくさと教室を後にした。
「……でも、私も柚と同じで、何か分かった気がする」
「え?映美佳も?二人とも頭いいよね。私は瀬川の漢字の間違いが気になって気になって…」
「いや、間違ってない所だよ。『また同じことするかも』って、ココが気になってるんでしょ、柚」
「うん…。だから拓は距離を取ってるのかなって……」
「………あぁ〜〜〜。そーゆーことか。てかさ、瀬川に手紙なんて書かせるもんじゃないね。頭の中で正しい漢字に変換するのが大変だよ〜」
やっと拓の真意を理解したあゆは、深く頷きながら窓の外を眺めた。
「瀬川も闘ってるんだね…、自分自身と」
「うん。まあ、お互い気持ちを整理することが必要ってことだね」
「ありがとう、二人とも。拓の気持ちが分かったら、納得できたよ」
私は拓からの手紙をまた折りたたんで、制服のポケットに入れた。
とにかく、拓に私の気持ちは伝わったんだ。
そして、私にも拓の気持ちが伝わってきた。