引っ込み思案な恋心。-2nd
「…あちゃ〜。柚、見ちゃったよね?」
「あかねちゃん?」
後ろにいたあかねちゃんの方を見ると、あかねちゃんは「しまった」という罰の悪そうな表情をしていた。
もしかして…
二人が話していたから、それを私に見せまいとしてた?
「どうしてななっぺが…拓と……?」
ゾクッと、胸のざわめきが一気に迫ってきた。
1年生の時の不安がよみがえってくる。
ななっぺは私と拓が付き合う前、拓のことが好きだった。
その事実を知っているから、余計に不安が不安を呼んでいる。
どうして?
ななっぺ…、まだ拓のことを想ってたの?
あかねちゃんはそのことを知ってたの…?
何で…、私にそれを教えてくれなかったの…?
不安だけが渦巻く。
私…、目の前にいるあかねちゃんのことすら信じられなくなりそうだよ。
「違うの、柚。あのさ………」
何か言おうとしたあかねちゃんに両腕を掴まれた時、横から声が聞こえた。
「2組の…、杉田さん?」
「えっ!?」
聞き慣れない女子の声。
いきなり名前を呼ばれた私は、声のした方を向いた。
女子の割には背が高くて驚いた。
栗色の…ボーイッシュなショートヘアがよく似合う、長身で細身の女の子がそこに立っていた。
「あ、あの…、何で私の名前……?」