引っ込み思案な恋心。-2nd





「なっ!?ちょ…っ、松沢さん?」






その言葉に最初に反応したのはあかねちゃんだったけど、彼女は怒りそうになったあかねちゃんをチラリと見た後すぐに教室へと入って行った。








「なんなの、あれ!?信じらんない!!」



「ねえ…、あの人誰?」






陰口で言われることがあっても…





あんなにハッキリと、私と拓が釣り合わないと言われたことはなかった。






だから私は…、ショックと言うよりも、ただ驚くことしかできなかったんだ。







彼女はどうやら3組の人みたいだけど…





私は全然知らない人だったし、そもそも…何で一方的に私のことは知られているんだろう?








「ああ…あのコ、松沢里菜(まつざわ・りな)だよ。M小なんだけど、6年の時に転校してきたから、クラス一緒になったことない柚は知らないよね?」



「え?M小なの…?知らなかった…」



「私は6年の時一緒のクラスだったから。でもあんな嫌味言うコじゃないと思ってたのに…なんなの、あれ」



「何で私の事、知ってるの?」



「えーーっと…、それは…」






急に、あかねちゃんの言葉が詰まった。





あかねちゃん…、すごい考え込んでる。





こんなあかねちゃん、あんまり見たことないかも。









「あそこまで言われちゃったら、私もちゃんと柚に話すよ。ちょっと2組の方の廊下に行こ?」



「あ…、うん」






拓のことも気になったんだけど、ななっぺと話しているところを見るのは辛い。





そんなこともあかねちゃんは考えてくれたのかな…?





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