引っ込み思案な恋心。-2nd
「たぶん瀬川から、彼女…、柚の存在を聞いてたんじゃないかな?あるいはどっかでウワサ聞いたか…。まさか本人からあんな宣戦布告みたいな発言されるとは思わなかったよ。こっちは柚を不安にさせないようにしてたのに、うちらの努力が一気にムダになった感じ」
「ごめん。私、そんなこと知らなくて…、ななっぺのこと……」
「いーよ。普通はそう思うよ。言ってなかったんだし、仕方ないっしょ」
「でも…」
「いいって。確かに瀬川も目立つもんねー。よく考えたら、密かに瀬川のコト想ってる女子、まだまだ結構いるのかも」
「私…、どうしたらいいんだろう?」
ななっぺのことはとりあえず解決したけど、新たに不安が生まれてしまった。
まだ、本気で拓のことを想っている女子がいる。
せっかく拓の彼女になれても……、ちょっと距離をあけただけでそこを突ついてくる人はいるんだ。
すると、あかねちゃんが真剣に私の顔を見てきた。
「今、瀬川の彼女は柚でしょ?堂々としてたらいいんだよ。こんなコトでオドオドしてたら、それこそ松沢さんの思うツボじゃん」
「うん……」
「まだ瀬川と話してないんでしょ?なかなか難しいよねぇ……」
とにかく私は拓の彼女なんだから、それを一瞬でも忘れないでとあかねちゃんに言われた。
私も真剣にあかねちゃんにうなずいた。
その時、チャイムが廊下に鳴り響いた。