引っ込み思案な恋心。-2nd
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放課後になってすぐ、私は3組の教室に向かった。
廊下の窓から横目で外の様子を見ると、昼休みに降り始めた雨はさらに強さを増していた。
他の教室からも、ゾロゾロと生徒が出てくる。
私は帰路に着こうとする生徒達をかき分けながら、拓の姿を探した。
「…あっ!」
拓の後ろ姿だ。
周りに人がいるみたいだけど…、とにかく行くしかない。
私は少し早足で、拓の背中に近付いた。
「…たっ、拓!!」
拓の数メートル後ろで拓の名前を呼ぶと、拓はちゃんと私の声に反応して振り向いてくれた。
でも…、もう一人、私の声に反応した人物が。
あれ?
拓の隣にいる人…、背が高いからてっきり男子だと思ってたけど……
松沢さんっ!?
「ああ…、柚。どした?」
「あ、うん…」
意外にも拓は驚きも焦りもない普通の表情だったけど…
私にはその隣の松沢さんの視線の方が痛い。。。
「あっ、あのね、ちょっと話したいことがあって…」
「悪りい。今日、用事があるんだけど。急用?」
「え?いや…、急というか……」
松沢さんが、私の頭からつま先までジロジロと私の様子をうかがってるのが、横目で分かる。
だから…、拓に話してるハズなのに、上手く言葉にならない。