引っ込み思案な恋心。-2nd
不意に涙がこみ上げてきそうになった。
勇気を持って話しかけたのに…、一人にされてしまった。
どうして?
何が悪かったの?
友達と談笑しながら靴箱に向かう人達が、動きを止めて立ち尽くしてしまった私を追い抜かして行く。
…私だけ、動けない。
もう、笑えない気さえした。
「…柚?どうしたの?」
あれから1分も経ってないかもしれない。
でも立ち尽くしていた時間がとても長く感じた。
突然後ろから肩を叩かれた私は、ゆっくりと振り返った。
そこにはカバンを背負ったななっぺが立っていた。
「ななっぺ…?」
「どうしたの?うちの教室の前で。あかねちゃんなら傘忘れたから、ダッシュで帰っちゃったみたいだけど…」
「あの…、違うの」
「え?違う…?あっ、瀬川は……、やっぱり帰ってるね。そうじゃなくて?」
「………」
どうしよう。
何て説明していいのか分からない。
私はただうつむいて、唇をかみしめていた。
「もしかして……、あかねちゃんから聞いたけど、昼休みのこと?まだ怒ってる?確かに柚にちゃんと説明しなかったのは悪かったよ。謝るから…」
「違うの。拓…、松沢さんと行っちゃった……」
「え?」
呟くようにななっぺに言葉を発した途端、熱い涙が一筋頬を伝ったのが分かった。
やだ…。
どうして涙が出てくるの?