引っ込み思案な恋心。-2nd





不意に涙がこみ上げてきそうになった。






勇気を持って話しかけたのに…、一人にされてしまった。






どうして?



何が悪かったの?








友達と談笑しながら靴箱に向かう人達が、動きを止めて立ち尽くしてしまった私を追い抜かして行く。







…私だけ、動けない。






もう、笑えない気さえした。















「…柚?どうしたの?」






あれから1分も経ってないかもしれない。





でも立ち尽くしていた時間がとても長く感じた。






突然後ろから肩を叩かれた私は、ゆっくりと振り返った。






そこにはカバンを背負ったななっぺが立っていた。






「ななっぺ…?」



「どうしたの?うちの教室の前で。あかねちゃんなら傘忘れたから、ダッシュで帰っちゃったみたいだけど…」



「あの…、違うの」



「え?違う…?あっ、瀬川は……、やっぱり帰ってるね。そうじゃなくて?」



「………」






どうしよう。



何て説明していいのか分からない。






私はただうつむいて、唇をかみしめていた。







「もしかして……、あかねちゃんから聞いたけど、昼休みのこと?まだ怒ってる?確かに柚にちゃんと説明しなかったのは悪かったよ。謝るから…」



「違うの。拓…、松沢さんと行っちゃった……」



「え?」






呟くようにななっぺに言葉を発した途端、熱い涙が一筋頬を伝ったのが分かった。







やだ…。



どうして涙が出てくるの?





< 65 / 270 >

この作品をシェア

pagetop